時間

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一方、父さんは母さんの言葉にハッとした表情で、母さんを叩いてしまった手を見つめた。 自分がとった行動に、父さん自身も驚いている様子だった。 「黙ってないで何とか言いなさいよ!」 母さんはギラギラと目を光らせ、父さんを問い詰める。 父さんは母さんを叩いた手をぎゅっと握り締め、真っ直ぐな瞳で母さんを見つめた。 「……すまなかった。 突然叩いたりなんかして、本当にすまない」 母さんに対して、父さんは素直に頭を下げて謝った。 「だが……」 父さんは頭を上げて、母さんを見つめた。 父さんの瞳は先程までの静かな色ではなく、どこか荒々しい色がともっているように見えた。 「お前も、皐に謝りなさい」 「はぁ?!」 「謝りなさい」 「…………ッ!」 父さんから溢れだす有無も言わせない圧力に、母さんはひるんだ。 .
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