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「わかってくれとは言わない。
恨むなら私を恨め」
その言葉に、母さんは再び手を大きく振り上げた。
「母さん!」
俺は振り下ろされる母さんの腕を掴んだ。
「何するの!離しなさい!」
母さんが怒鳴る。
「父さんを叩いて何になると言うんですか!
父さんを何度叩いたって渉の目が覚めるわけじゃないんですよ!」
俺の言葉に母さんの動きが止まった。
母さんは振り上げていた手をゆっくり下ろす。
母さんが暴れなくなったのを確認した俺は、掴んでいた母さんの腕から手を離した。
「こんなことしても、父さんと母さんが痛いだけです。
だから……」
「何なのよアンタ……」
母さんの黒い声が俺の言葉を遮った。
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