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「アナタにわかったふうに言われるのが一番腹が立つのよ」
部屋の空気がざわつく。
部屋の中が酷く歪んで見えた。
「全てあんたのせいよ……。
あんたのせいで渉の人生も、私の人生も台無しよ!」
「…………ッ!」
俺を心から憎み、恨み、拒絶する母さんの思いが俺の身体を貫いた。
目の前が闇に染まっていく……。
まわりの音が遠退いていく……。
息が……できない……
苦しい……
「いい加減にしないか!」
父さんの怒鳴り声に、俺と母さんは振り向いた。
「全部、皐のせいか?
渉が家から抜け出したのも、道路に飛び出して事故にあったのも、全部皐一人のせいなのか?」
そう母さんに問いかける父さんの瞳は怒りと哀しみが広がっていた。
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