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その時、俺は思ったのだ。
俺は今まで、一番辛い思いをしているのは自分なのだと心のどこかでずっと思っていた。
けれどそれは違った。
【誰が一番】なんてことは無いのだ。
皆が渉のことに心を痛め、苦しみ、悲しみ、悔いてきた。
その思いに【一番】という言葉はないのだ。
俺が渉のことに責任を感じていたように、父さんも……母さんも……。
みんな、それぞれ渉のことを思い、考え、時を過ごしてきたのだ。
「明日、渉の担当医から詳しく話を聞くことになっている。
先生の話を聞いてから、もう一度みんなで渉のこれからについて話し合おう」
父さんの言葉に、俺と母さんは深く頷いたのだった。
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