父の思い

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父さんは小さくため息をこぼし、壁の時計を確認した。 気付けば夜中の12時を過ぎており、日付が変わっていた。 「もうこんな時間か……」 父さんはそう呟くと、母さんへ視線を移した。 母さんはソファーに座りこんで顔を俯かせていた。 「……今夜の話し合いは、ここまでにしよう」 その言葉に、母さんは勢いよく顔を上げた。 「ちょっと待って、話はまだ――」 母さんは父さんに異論を唱えようとしたが、父さんがそれを遮った。 「今日の昼には渉の病院に行かなくちゃいけないんだ。 少しでも身体を休ませておかないと身体が保たないだろう。 ……それに、お互い時間を置いて話し合ったほうがいいと思うんだ」 「…………」 母さんは父さんの言葉に黙り込む。 そんな母さんを一瞥した後、父さんは俺に視線を向けた。 .
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