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「お前も疲れただろう」
「あ……いや、俺は……」
まさか自分に話をふられるとは思っていたかった俺は、歯切れの悪い言葉しか返すことができなかった。
そんな俺を見て、父さんは微かに目元を緩めた。
あ……また……
会って2回目となる父さんの柔らかい表情に、思わず目を据える。
しかし、父さんは直ぐに表情を戻して言葉を続けた。
「お前の部屋はそのままにしてあるから、そこで休んでくれ」
「はい、分かりました」
俺の返事を聞くと、父さんは母さん傍へ近づき声をかけた。
「もう夜も遅いから、今夜は帰らないでここへ泊まっていきなさい。
部屋は寝室を使ってくれてくれ」
「……わかったわ」
母さんは力なく返事を返して、部屋を出ていった。
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