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「姫!!もうじきここも戦火に……早くこちらへ!!」
「いいえ。私はお父様と居ます。あなたも、早くお逃げなさい」
戦火が迫る中、姫はいつものように笑う。
その顔は衛兵の目に戦火よりも濃く、焼き付いた。
「で、すが……国王様は、も、う……」
歯を食いしばった衛兵はちらりと震える目を向ける。
そこには、炎だけ。
「……ひ」
衛兵の姿は一瞬で炎に包まれ、焼け焦げた。
自分の体温がわからなくなってきたころ、姫は一歩進む。
「…………なんて馬鹿な人達」
ぽつりと轟音に混ざり、つぶやきが漏れる。
それとほぼ同時、姫は炎へと身を投げた。
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