笑顔

3/8
前へ
/8ページ
次へ
「姫!!もうじきここも戦火に……早くこちらへ!!」 「いいえ。私はお父様と居ます。あなたも、早くお逃げなさい」 戦火が迫る中、姫はいつものように笑う。 その顔は衛兵の目に戦火よりも濃く、焼き付いた。 「で、すが……国王様は、も、う……」 歯を食いしばった衛兵はちらりと震える目を向ける。 そこには、炎だけ。 「……ひ」 衛兵の姿は一瞬で炎に包まれ、焼け焦げた。 自分の体温がわからなくなってきたころ、姫は一歩進む。 「…………なんて馬鹿な人達」 ぽつりと轟音に混ざり、つぶやきが漏れる。 それとほぼ同時、姫は炎へと身を投げた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加