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「おい娘」
場と違い、涼しげな声が姫にふりかかる。
「え?」
目を開けた姫は驚いた。
自分は、城の外に居たから。
轟音の中、雨が降り始める。
炎のように赤いのは、声の主の瞳。
「約束だ。私の城に来い」
「……」
「笑え」
声の主の男が言う。
「ふざけないで。魔王」
もう一度言う。
「笑え。お前を城に置くんだ」
「嫌よ。笑ってしまったら、あなたは私をっ」
「逃がす気すらない」
真顔で言う魔王に、姫は怯んだ。
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