始まりはいつだって突然だ。

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「他にも何か改造を?」 「おうよ! ターボ車だけにブーストアップは当然のことに、インタークーラーは前置きにして処理能力を上げてる。 エアクリや足回り関係は言うまでもなく良いものに替えてる。 あとは……」 「あとは?」 「これ違法だから言うなよ?」 興味深そうに聞いてくる女性に、俺は勝手に同じ車好きだろうと判断し、調子に乗ってしまった。 同僚と友人ぐらいにしか普段は言わないのに、ロケットブースターの取り付けで浮かれてたことも合わさり、つい違法改造についても口が滑ってしまったのだ。 「いざというときのために、片輪走行モードやマキビシ散布、加えてナンバープレートの回転機能も付けてあるんだよ」 「へえー、それは凄いわね。 これは全部貴方お一人で?」 「ああ、勿論だ! 色々いじってあるから、他人じゃ勝手が分からない部分もあるからな。 それに……」 一呼吸置き、俺は満面の笑顔で答える。 「俺は機械が大好きなんだ。 一つ一つ新しいことを知っていくのが、楽しくて仕方ないし、どこをどうしたらどうなるか、その仕組みを知るときに、開発者の気持ちをちょっとだけだけど理解できるんじゃないかって思うんだ。 まあ、それは俺の思い込みやエゴかもしれないけどな!」 ちょっと照れ臭くなり斜め上を見上げながら頬をかく。 その時になって初めて相手の顔が視界に入った。
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