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「どうしてこうなった?」
自分の置かれている状況に理解が追い付かない。
今から試験を受けるところなのだが、合否に対する結果が受け止められないからだ。
よし、どうしてこうなったか思い返してみよう。
────────
あの忌まわしきお尻炎上事件(工場長命名)から二日がたった。
なんだかんだあったが、結局軍の施設に連行されるのを拒否できず、連れてこられた俺。
流石に消火器の泡まみれのまま車に乗ることはなく、一応シャワーを浴びることを許されたのはまだ救いだった。
チャンス!と思い、脱出を企て、一先ず俺が入ったシャワー室の隣のシャワー室(個室)に隠れて、作戦を練る時間稼ぎをしようと思ったんだ。
だがこれがいけなかった。
そもそもシャワー室には隠れるところなどあるはずもなく、どのシャワー室に俺が入ってるかを探すのに、精々数秒かかる程度なのだ。
そんな簡単なことに気付かないほど俺はテンパっていたらしい。
しかし、そんなことはどうでもいいのだ。
隣のシャワー室に、全裸の女性が入っていたことに比べれば……。
ここはシャワー室であり、全裸でいるのは当たり前のことなのだが、入っていた人物に問題があった。
自動車修理工場ということもあり、ここで働く女性は事務員しかいない。
その事務員も、エアコン完備の室内での作業なので、それほど汗をかくこともない。
つまりだ。
うちの事務員がシャワー室を使うことなどまずないのだ。
では、誰が入っていたかというと……小林少将その人であった。
眼福眼福……とかいってる場合ではない。
確かに形のいい乳房に、抜群のスタイル。
亜麻色の髪はしっとりと濡れ、それが肌に張り付き、妖艶とも言える色気を醸し出している。
しかし相手は陸軍少将。
事故とはいえ、裸を見てしまったのだ。
打ち首とか言われたらどうしよう?
冷や汗が背中を伝う。
ここは素直に謝って、即座に退室すべきだろう。
脳内で素早く結論をだし、出てきた言葉は
「鍵をかけないのが悪い!」
だった。
あっ。
俺の人生終わったかも。
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