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顎に右手の人差し指を当て、考えること少々。
返ってきたのは予想外の答えだった。
「確かにそうね」
まさかの生還可能!?
「丁度いいときに来たわ。
ちょっとそこのタオル取ってくれる?」
「いいですよ」
咎められなかったことに安堵しつつ、棚に置いてあったバスタオルを渡す。
素早く体に巻き付ける少将。
さて、これ以上ここにいても仕方ない。
「じゃあ俺はこれで」
正直にいうと、まだ見てい……ゲフンゲフン、紳士な俺は振り返りドアに向かう。
ボロが出る前に退室しようとしたのだ。
したのだが、足が前に動かない。
どころか後ろに下がっている?
まさか……。
「逃がすと思う?」
「えっ?
だってさっき『確かにそうね』って……」
「鍵をかけなかったのは、確かに私のミスよ。
でもね?」
なんだろう?
小林少将はとても笑顔なのに、悪い予感しかしない。
笑顔がコワイデスヨ?
「乙女の素肌を見て、生きて帰れるわけないでしょうが!」
気付いた時には、俺の体は宙を舞っていた。
その後のことは覚えていない。
風呂場で転んだことがある人になら分かると思う。
あのツルツル滑るタイルは、一種の凶器であると……。
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