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「で?
なぜお前は俺の向かいに座って暢気に飯を食っている?」
あれから直ぐに魅子は食事のトレイを運んできた。
俺の部屋を出たと思ったら、僅か五秒ほどで帰ってきたのだ。
どうやら、俺の部屋に侵入する前にした音は、食事のトレイを床においた音だったらしい……。
俺と室内で戯れている間に、何かあったらどうするつもりだったんだ?
具体的には、俺に恨みを持っている人に毒や下剤を盛られたり、女子だけでなく男子も恐怖のドン底に引きずり込む、お馴染みのGが食事に侵入したりだとか。
恨みを買うようなことは、ここではまだしてないとは思うので前者は大丈夫としても、後者はなんとも言えないだろう。
いや、そもそも食べ物をトレイ越しとはいえ、床に置くことなどあってはならないだろう。
食品衛生上大問題だ。
コイツは天然以前に、常識を先に叩き込んだ方がいいかもしれないと本気で思った。
で、自分の飯もちょっとしてから持ってきた。
それはちゃんと食堂から持ってきたものだったようなので、あっち向いてホイ!でよそ見してる隙に、俺のトレイと入れ替えたのは内緒だ。
だって、通りすがりのGさんが味見とかしてたら嫌だもん。
「いいじゃないですかぁ。
ご飯は一人で食べるより、大勢で食べた方が美味しいですよぅ」
「それには同意するが、お互いの合意があった場合の話だろう。
俺は許可した覚えはないぞ?」
「そんなに照れなくたって。
私たちの仲じゃないですかぁ」
「俺は照れてもいなければ、お前と深い仲になった覚えなど、これっっっっっぽっちもないぞ」
「ひっ酷いですぅ!
魅子は傷付いたのですよぅ。
しくしく」
「はいはい。
それは悪ぅございましたー」
「そこはもうちょっと構ってほしいのです!」
「いやだって、お前嘘泣きだし、そりゃ棒読みにもなるよ」
「んもう!
水嶋さんは女心が分かってないのですぅ。
もういいです。
本題に入りますですぅ」
「なんだ。
話があるのなら、最初からそう言えばいいだろう?」
両手を横に広げて「ふぅ、ヤレヤレなのですぅ」とか言ってバカにされた。
シバいてもいいだろうか?
喜ばしいことに、俺はフェミニストじゃない。
ビバ男女平等♪
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