横須賀基地陸軍所属第7部隊特殊整備班

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「そういうわけで、瑞希は観察力・洞察力の点で優れてるから合格ってワケだ」 「聞いちゃいねえ」 「ちなみに、源さんでも三十秒はかかるってよ」 「マジで!?」 源さんというのは、この陸軍基地の整備班全体の長、整備長のことだ。 齢六十を越えているそうだが、今なおその眼力や技術力は健在であり、俺も試用期間中は大変お世話になった。 はっきり言って、整備班の中では生きる伝説級の人物だ。 ちょっと頑固で口うるさいのが珠に瑕だがな。 「ワシがどうかしたか?」 そんなちょっと失礼なことを考えていたら、背後からやって来たのは、源さんその人。 ちょっとばかし焦ったじゃないか。 「げ、源さん。 どうしてここへ?」 「おう水嶋ぁ。 今度からワシも第7部隊の特殊整備班に配属になったから、よろしく頼むぞぃ」 「源さんが? だって整備長でしょ? そっちはどうすんですか?」 「ワシもそう上に言ったんじゃが、それよりも優先だって言われたもんでな。 まあそういうわけじゃ」 「分かりました。 よろしくお願いします」 「おぅ。 ところで……佐伯ィ。 何処に行くつもりだぁ、ああん?」 よくよく見れば、いつの間にか源さんは佐伯の首根っこを捕まえている。 「ちょっと配属先を確認しに……」 「心配するな。 お前もワシと同じ第7部隊特殊整備班で間違いないわい」 「い、いえ。 何かの見間違いということもあり得ますし……」 佐伯は源さんに怒られてばかりだったからな。 なんとかしか逃げようとしてるけどこりゃ無理だな。 「ほほう? するってえとなにかぁ? ワシの目が節穴だとでも言うのかあ、ああん?」 「いえ! 滅相もございません!!」 「あんまりふざけたこと言ってると、水平打ちするぞ」 「それだけはご勘弁をッ!」image=449457379.jpg
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