始まりはいつだって突然だ。

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冷酷にそう言い返したのは、ごく一般的な背丈の20代前半ぐらいの女性だった。 だが『一般的』と言えるのは身長ぐらいで、その他は全く一般的ではない。 服装は、深い緑に包まれたいかにも堅苦しそうなスーツ姿で、その胸元には色彩々の装飾が輝いている。 そう、つまり軍服を着た『偉い』人だというのが見てとれる。 (っと、あの階級章は陸軍少将のものか? しかもこの若さで? 嫌な臭いがプンプンしやがるぜ。 なんとなく焦げ臭いような……) しかし一番目を見張ったのは、その美貌であろう。 いや、正確には美貌に似つかわしくないその力だ。 しかも、権力とかそういうのではなく、文字通りの意味で、だ。 周りで働いている同僚は唖然としている。 何しろ、片手で成人男性を引き摺ってどこかへ連行しようとしているのだから……。 まぁ、引き摺られてるのは俺なんですけど……。 (しかし、それにしても嫌な臭いがし過ぎるぜ。 一体何だってんだ?) こうなるに至った状況を、改めて思い直してみようとしたら、前を行く(正確には、俺の襟首を掴んで斜め前を歩く)女性が、いきなり振り返った。 「あなた……お尻が燃えてるわよ?」 臭いのは俺の燃えるケツでした♪ って笑い事じゃねえぇぇェェーーーーっ!image=465442914.jpg
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