横須賀基地陸軍所属第7部隊特殊整備班

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「噂をすれば……ほれ、来たみたいじゃぞ?」 そう言って源さんは、格納庫入口を指す。 勿論、四の字固めは継続中だ。 言われた場所に目を向けると、四人の男女が並んでいた。 「お前ら第7部隊特殊整備班で間違いないかぁ?」 いつの間にか隣に立っていた源さんが確認をとる。 四人共頷いたので、どうやら間違いなさそうだ。 ってか、技をかけるのも外すのも、早過ぎるだろ源さん? 気付いたら、手招きしてるし。 「よーし、それじゃ自己紹介していけ。 まずは右の奴からじゃ」 はい。と小さく返事して自己紹介を始めたのは、やや背が低く童顔で中性的な顔立ちをした男だった。 「僕の名前は、清水康太です。 年齢は28歳。 得意分野はプログラミングなので、ソフトウェア関連はお任せください」 28歳!? あの童顔で俺より二つも年上? 正直高校生ぐらいにしか見えない。 魅子と並べたら学生の兄妹に見えることだろう。 くちゅんっ。 誰だ、くしゃみをした奴は? 「貴方が……水嶋副班長ですね?」 思考の海に潜っていたら、清水康太の声で呼び戻された。 俺が副班長なのが気に食わないのだろうか? 一番気に食わないのは俺なんだがな。 なんなら、こんな面倒なポジションは譲ってやる。 「ああ、そうだけど。 不服か?」 異が唱えられたなら、速攻進呈しよう。 が、残念ながら予想は裏切られた。 「不服なんて、とんでもありません! 僕は水嶋『先輩』が班長でもいいと思ってるぐらいですよ!」 こらそこッ! うんうん頷かない! 怖くて言えないが、何故か源さんが首を縦に振っていた。 っていうか 「『先輩』?」 「はいっ! 僕も水嶋先輩のように、立派な整備班の一員になれるように頑張りますっ!」 「待て待て。 俺は26で、清水……さんは28だよな? だったら先輩はおかしいだろう?」 「いえ! 水嶋先輩は先輩でいいんです。 それと、僕のことは康太とお呼びください!」 意味が分からない。 だが、俺の中で清水さ……いや康太の第一印象は決まった。 清水康太は、"ちょっと変わった"奴であると。image=449457401.jpg
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