始まりはいつだって突然だ。

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「ノオオオオォォォォーーーーーーッ!」 ケツから豪炎を放ちながら飛び上がった俺は、熱さの余りに其処ら中を駆け回る。 それを見て慌てた同僚たちは、消火器の集中砲火を浴びせかける。 そりゃ回りの物に引火したら大変だもんね? でもねでもね? 見境なく全方向から噴射しなくてもいいと思うんだ。 燃えてるのはケツなんだから、俺の背面から消火してくれればいいのに。 おかげで俺は、雪男もビックリするぐらい、全身真っ白だ。 「ゲホッゲホッ!」 「おーい水嶋。 生きとるかー?」 そう声をかけてくれたのは工場長だ。 幾分他人事のような響きが感じ取れるが、きっとそれなりに心配してくれてるのだろう。 「いえ、水嶋は死にました。 んで、ここにいるのはミシュラ○マンです」 「おーそうかー。 ミシュ○ンマンかー」 「はい、そうです」 一応ボケてみた。 だってよく考えてごらん? 人生の中で、全身消火器の泡でまみれることなんて、なかなか経験できないぜ? ちなみにミシュラン○ンを知らない人は、ゴー○トバスターズでも見てみよう。 「よし生きとるな。 そんなこと言って逃げようとしても、あの軍のネエチャンからは逃げられんと思うぞ?」 「やっぱダメっすかね?」 「ダメじゃろうな」 あっさり流した上で、工場長は現実を突きつけてくれた。
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