始まりはいつだって突然だ。

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──────── ことの発端はこうだ。 つい先日、俺が勤める自動車修理工場に、一台の車のメンテナンスが依頼された。 まあその車は工場長がメンテしたんで、問題は特になかった。 ってか完璧だった。 あのジジイ、性格はともかく仕事はきっちりこなすからな。 そこは俺も尊敬してるところだ。 伊達に工場長を名乗ってないって訳さ。 それはさておき、問題があったのは、メンテに出された車じゃない。 その時の俺の行動に目を着けた奴がいたってことだ。 俺が何をしてたかって? 丁度休憩時間に入ったから、趣味に没頭してたんだ。 これでも、仕事は仕事、趣味は趣味として、キッチリ区別してるんだぜ? 仕事中に趣味に手を出すほど、俺は仕事を舐めてはいない。 何せ車には人が乗るのだ。 整備不良で事故でも起こした日には、人の命に関わる。 機械を扱う以上、絶対は無いとはいえ、命を軽んじるようなことは許せない。 それが俺のポリシーの一つでもあり、譲ることのできない一線でもある。 って話が逸れたな……。 とにかく! 俺は休み時間に趣味に没頭してたんだ。 ん、趣味が何かって? 自分の車の改造さ。 ちょっとばかり……そう、ちょっとばかりイリーガルな改造も含まれてるけどな。
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