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―午後5時50分。 20階建てマンション最上階に住む妻のカヨコは夕飯の支度をしていた。 テンポよく野菜を刻んでいく。 その時だった。 目の前に映るモノが徐々に揺れ出しカタカタと音を鳴らす。 「地震!?うそっ」 戸棚上に置かれたコップが落ちて割れる。 とっさにテーブルの下に潜り込む。 2,3分経っただろうか。 次第に揺れが収まってきた。 「…もぅ大丈夫よね…」 自問自答しながら動こうとした時だった。 ズドォォオォ…ン 轟音と共に再度激しく揺れる。 「きゃあぁあぁぁ!!」 しばらく経ってもあまりの恐怖で動け無かったのだが、 隣の部屋に居た子供と旦那の存在を思い出す。 床に散乱した破片を避けながら居る部屋の扉を開ける。 「!!!!」 何も無かった。 いや、 目の前には街並みが広がっている。 進みかけた足が宙に浮く。 「うそっ…」 カヨコは慌てて扉を閉める。そう、 隣の部屋から見事に切断されたのだ。 何故!? どうして!? 不可解過ぎてこの状況が飲み込めない。 「…いや、こんなの有り得ないわ…きっと夢…」 カヨコは願いつつ、再度ドアノブに手をかける。 こんなの有り得ない。 そっと開けると… そこは いつもの風景だった。 「おぃ、何やってんだよ。早く夕飯作ってくれ~。子供の相手でバテてしまうよ」 「おか~さ~んご飯まだァ?」 よかった… やっぱり夢… 「臨時ニュースです。17時50分頃、テロにより都心部にあるマンションの一つが半壊。付近の道路は完全に塞がれ、交通機関が麻痺しています。どうやら半壊部分に居た住民は絶望的で、また、後を追うようにして最上階より飛び下りた女性も……‥」 end
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