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記憶のアルバム。
次ページはレストランからの帰り道。
車を家から離れた場所に停めた父さんは、珍しく背中に僕を乗せて歩き出した。
当時住んでいた団地へ続く三段重ねの長い階段を、父さんの背中で僕が降って行く。
「なんでいつもの所に車を停めないの?」
音声はないが、その時の疑問と共にその光景が僕の記憶に焼き付いたようだ。
階段を降りながら、僕は父さんの背中で眠りについた。
目が覚めると同時に僕の体中に不安が駆け巡り、父さんを探す。
家の中、駐車場、行ったり来たりと走り回る僕。
そんな僕に
母さんは、仕事の片付けで少し出掛けてるだけだと言ったが…。
その日も次の日も、父さんが戻る事はなかった。
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