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ギィッという音と共にドアが開く
来ないと思っていた助け。紺の制服を着た三十代半ばくらいの消防士
『大丈夫ですか?』
『両手両脚が動かないんです…頸が、痛いんです』
助かった
安堵から、涙が流れる
良かった、助かった
『身体動かしますよ』
そう言って、身体を動かそうとする。頸に鋭い痛み
『頸、痛いんです』
頸は正常な位置に無かった。だらんと垂れ下がる。力は入らない
『折れてるかもしれないですね…頸の装具持ってきて!』
…頸が折れてる?
もう一人の隊員に声をかける。ザッザッザッ、走って、何か持ってきた
『ちょっと我慢してくださいね』
頸に丁寧にコルセットを付ける。ムチウチの人がする装具。わたしの頸は固定された
『頸、折れてるんですか?』
頸が折れたら、人は死ぬんでしょ?
『病院に行って検査してみないと、判らないですが、ね。』
担架に乗せられ、白くて四角い車に運ばれる
…頸が折れてるから、両手両脚が動かないの?
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