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「まず僕がもうひとつの世界に連れてってあげるんだよ」
管理人は当たり前のように話しているが、その時点でもうわからない。どこへ行くって? もうひとつの世界だと? 俺はてっきり、コントローラーでも握って画面の前でやるものだと勝手に決めつけていたが、これが当然の考え方だろう。
「もうひとつの世界ってなんなんだよ。それに、行くとしても何で行くんだ?」
「やっぱり説明不足か。参加させるための準備はもうできているんだ。僕がいる世界はナンセンスワールドと言ってね、キミのお父さんが画面の中に世界を創った。そして、僕にはそこに他人を連れていく力がある」
また父さんか。
父さんの研究は一体どこまで進んでいたのだろう。
「そうか。それで、俺はそんな所まで行って何をすればいいんだ?」
「ナンセンスワールドのラスボスを倒す。その時、キミの願いをひとつだけ叶えてあげる、ってわけさ。まあ極端な話、それだけだ。簡単だろ?」
ここで一般人ならバカバカしいと流していただろう。俺は疑心を忘れたわけではなかったが、母や妹、もちろん俺にとって父は大切な存在であった。助けたい。
「やらせてくれ。絶対に褒美を持って帰る」
「話がわかるね。ちなみに仲間を連れていくことも出来るよ」
「明日のこの時間に、好きな仲間を誘ってきてくれ。人数制限はないから自由に選んできな」
管理人はそう告げると、一旦画面の中へ入る。念のため、パソコンの画面を指でつっついてみる。
やっぱり画面の液晶が指先でモヤッとするだけだった。
「じゃ、伝えたからね~ あとコレ」
管理人は画面越しに封筒を手渡してきた。
「それは招待状、しっかり読んでおくこと。また明日来るから。バイバ~イ」
管理人は帰ったようだ。
「………やるか」
「仲間集め」
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