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俺達が住むこの街は、建築物に囲まれた正に都会と呼ぶに相応しい場所だろう。
今は訳あって、母、妹、俺の三人でこの街に暮らしているわけだが、貯金は十分にあり不自由のない生活を続けるている。
俺と妹は、徒歩で約15分程かかる都内の中学に通う、二年の男子生徒、女子生徒である。
俺達の通う学校は世間一般からは優秀で真面目な生徒ばかり集まる進学校であると思われている。たが実際はかなり誤解があるようだ。
学校のホームページには、社会の変化に適切に対応するため生徒一人一人が豊かな人間性を備え、意欲的に行動できる力を育成するとかなんとか書いてあったが、校内を見回せば教室は荒れ放題、壁には落書きが絶えない。
だがそんな学校もいわば住めば都というもので、授業中におしゃべりをするような生徒はいないし、そういう生徒は体外学校から抜けだしそれぞれのやりたい事を好き勝手やるわけだ。
勉学に励む者、その方面に疎い者、両側に合わせた生活ができ、これはこれで願ったり叶ったりなんだ。
もちろん俺は後者に所属している。普段はみんなからは『リュウ』と呼ばれている。
本名は、夏目 流(なつめ りゅう)。
今日もいつもどおり五時間授業を終え、帰宅途中なわけである。
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