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今日は大分冷える。
何が地球温暖化なんだろうか、こんな気候変化の激しい世界は嫌になってくる。なんなら一年中同じ温度、同じ気候、そんな世界を憧れてしまう。そんなくだらない事を考えているうちに家についていた。
「今帰ったぞ~」
玄関口に入り、台所で待ち構えている母に食材を渡し、とりあえず現状は打破しなければならないので率直な意見を述べてみる。
「なあ、母さん。最近カレー多くねえか?」
「あら? 気づいちゃった? でも今日のカレーは一味違うわよ」
母はそう言うとふふふと笑いながら、食材をキッチンで準備していた妹に渡した。
「おいおい、マジかよ……」
十三年間共に生きてきて、妹が料理の腕前で母を越えたことは一度もない。
「ちょっと、何その反応っ。酷くない!?」
妹は俺の反応がお気に召さないようだ。ご自慢のツインテールをバサッと揺らし、いつもどおりつっかってくる。
妹の作る料理は決してまずくはないのだが至って普通である。それとは打って変わって、母の作る料理は完成された味なのではっきりと差がわかってしまうのである。それに加えカレー続きときたものだ。
「一味違うどころかマイナスじゃねえか」「リュウは黙ってろバカ! ちょっとは上手くなったんだからな!」
妹の学力は優秀なのだが、言動は小学生レベルである。
そんなやり取りを楽しそうに見ていた母は、妹に料理を教えるためか、二階へ上がるよう催促してきた。
「出来上がるまでに時間かかるだろうから、上にあがって勉強でもしてなさい」
母の言うことは絶対だ。 とりあえず二階の自分の部屋へ上がることにする。
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