--Wednesday.1--

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「亜希ちゃん…!!」 沈黙を破ったのは、ずーっとずーっと、待っていた、その子。 小走りで駆け寄ってきて、 「良かった…!! 居た!!」 って、あたしのピンク色のニットの袖を掴んだ。 「………え、愛美ちゃん!!」 思わず抱きしめていた。 あの甘くて優しい香りがする。 愛美ちゃんのジャケットの両手首を持って、 「ずーっとずーっと、待ってたんだよ? あたしアドレスか番号間違えてた?」 必死だった。 愛美ちゃんは、顔を真っ赤にして、 「違うの!!違う!! あたしあの時、嬉しくて…。うっかりして、自分の番号もアドレスも渡さなかったでしょ? 亜希ちゃんもしかしたら、登録していないアドレスが拒否設定になってるんじゃないか、とか、知らない番号からかかってきたら、でてくれないかな…。とか、何か色々考えちゃって…。 今日のお店のランチタイム、ここの前を通ったの。 亜希ちゃんらしき人がいて…。でも物凄く忙しそうだったから、邪魔しちゃいけないと思って…。 会えないかもしれないけど、仕事終わりに来てみようって思って…。」 勢いよく話す愛美ちゃん。 「もぉーっ!!!!!待ってたのっ!!ずーっと!! 会いたかった!!」 また抱きしめれば、小さい愛美ちゃんの顔はあたしの胸の位置。 「あ…、亜希ちゃん…、ネックレスが…。」 パッて離して、待ち人のおでこを覗き込めば、ムーンストーンのネックレスの跡がついていた。 顔を見合わせて笑った。 会えた、やっと、会えた…。 同じように、思ってた。 >>>>>
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