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X'masも終わり、年も明け、バレンタインも終わった。
慌ただしく浮かれた街に、またいつもの静けさが戻ってきた。
「もぉーーー。また、まただよ?すれ違い…。会いたいなぁ…。アドレスか番号、渡せば良かった…。」
コロナのライムを押し込みながら、優樹に言った。
あれから2ヵ月。
愛美ちゃんと、ことごとく会えなかった。
本業、と言っても、たまに雑誌やカタログに載るモデル。
夏・秋の撮影や打ち合わせが押してた。
ここ、『home』に来る度に
「あの子、昨日も来たんだよ。あっこ今日はいないって言ったら、'また、来ます。'って。」
店長や他のスタッフに言われた。
もう、何回?
今日も、それが目当てだったのに…。
「ねぇ、それって恋?だったら俺に言われてもねー。彼女の恋を応援できるほど、できた男じゃありませんから、僕。」
黒いギネスビール片手に生春巻きのニラを器用によけながら、優樹は言った。
「愛美ちゃん!!女の子!!もー、何回も話したでしょ?しかも、僕、とかムカつく。」
イーッてしながら言った。
「なぁんか、あっこが遠くなってくよ…。」
よけたニラを、更に、ピッピってお皿の端に寄せる。
拗ねた顔した優樹。
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