--寒い寒い日--

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だから、気になった。 ううん。 出逢った時から気になってた。 彼女の事。 カップにその角砂糖を入れ、ティースプーンでゆっくり揺らす。 黄金色の液体がキラキラ光る。 「あのぉ…………。」 聞きたくてたまらなかった。 彼女は手を止め、私を見た。 見た、というより、見上げた。 その差、40cmくらい? 「なんで角砂糖なんですか?しかもゴツゴツした角砂糖。白いサラサラしたお砂糖じゃだめなんですか?味が違うんですか?それともこの紅茶には角砂糖じゃなきゃだめだ、とか…。」 口を開いたら止まらなくて、質問ばかりしていた。 彼女はカップに目を戻し、また黄金色の液体を揺らしながら言った。 「だって…。すぐに溶けてなくなってしまったら、悲しくなるから。」 そう言って顔をあげ、ふふっと笑った。 天然? 不思議ちゃん? ぶりっこ? いや、あたし女だし、ぶりっこする意味ないし。 そっち系? なんか、なんか気になって、彼女の席に行く口実を探した。 他には何も、オーダーしてくれないんだもん。 >>>>>
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