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蝶々が、たくさんの蝶々たちが、緑色の草原から、一斉に飛び始めた。
冷たい風…。
黒く長い、あたしの髪?風になびいてる。
そんな風に負けずに、高く舞う、数え切れない蝶々。
爪。
赤く塗られた爪。
どこからともなく、色とりどりの蝶々が羽ばたいていく…。
目が、覚めた。
助手席のドアを開けた優樹が、あたしを抱え込もうとしているところ。
「あ、ごめ…、ありがとう。もう着いたの?」
冷たい夜風が開いたドアから入ってくる。
「おはよう。荷物はもう中。あとはあっこだけ。」
また抱え込もうとしながら、優樹は言った。
「歩けるから大丈夫ー。ありがと。腕だけ、貸して?」
慌てて体を起こして、足だけ車外に出して、優樹の腕を借りる。
よいしょって立ち上がって、ドアを閉めた。
「あっこー。寒いよー、寒いーっ!!」
歩きながら抱きついてくる優樹。
「歩きにくいー!!もう、家すぐそこじゃん(笑)」
とかなんとか言いながら、くっつきながら、マンション1階にある部屋に入る。
玄関右横の棚に鍵を置いて、優樹は先にリビングへ。
「あっ!!ごはん……。」
雑貨屋さんで見つけて、色違いで購入した、真っ赤なキラキラしたバブーシュ(優樹は緑。)に履き替えた時、思い出した。
(冷蔵庫には、あんまり食材が入ってない。スーパーに行く気力もない…。どーしよー…。)
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