--長い1日--

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うとうとしている中で、すぐ隣にいた人がいなくなった事に気づく。 (あぁ、サーフィン行くんだ…。) 音に耳を澄ませる。 リビングから離れ、洗面所に入っていく音。 廊下を歩く音。 冷蔵庫から何か取り出した。 しばらくして、シンクに食器を置いた音。 リビングからまた離れ、バスルーム前の2人の洋服や優樹のサーフィン道具なんかを入れる部屋から、ごそごそ音が聞こえる。 玄関の鍵をあけ、ドアをあける音。 窓の外から、バタンッ!!って、トランクを閉める音。 玄関のドアがあいて、またしまる。 足音が近づいてくる。 起き上がりたいのに、起き上がれない。 まだ早朝の薄暗い中、目をうっすらあけた。 寝室に戻ってきた優樹が、手を伸ばしたあたしの手を取るように、ベッドのそばに来てくれた。 「おはよう。もう少し寝てな?いつもくらいに帰ってくるから。おやすみ。」 返事もろくにできなくて、長めのまばたきと、ちょっと力を入れて手をつないだ。 「いってくるね。おやすみ。」 頭を優しく撫でて、寝室からリビングへ、リビングから玄関への足音。 遠くなる足音。 ドアのしまる音。 遠ざかる優樹の車のエンジン音を聞き終えて、また眠った。 すぐ横にあったぬくもりの主を抱きしめるように手を伸ばし、少し冷めた暖かさを抱えながら、また眠った。 >>>>>
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