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食器を洗い終えた頃、洗濯機が脱水終了の音を鳴らす。
丁寧にシワを伸ばして、シーツや枕カバー、他の洗濯物も干す。
ついでに掛け布団まで干しちゃった。
何をしようか、と考えていると、聞き慣れた車のエンジン音。
鍵を開ける音。
バスルーム前の部屋にいき、道具をしまう音。
洗面所に行き、何かごそごそとしている。
ペタペタとバブーシュを履いた足音がこちらに近づく。
「おかえり。」
半乾きの髪で
「ただいま。」
優樹は言う。
その右手には、三輪のピンク色のガーベラ。
「お花、変えようか? あ、でもまだ元気だから、一緒に飾ってしまおっか?」
[その人]が愛用していた、小さいデュラレックスのコップに、ガーベラの茎を切り、生けて、写真の前へ。
「ありがとう…。」
優樹は言った。
「なぁーんにも。ありがとう、とかいらないよ。」
自然と柔らかくなる表情。
「シャワー浴びておいでよ。その間に洗濯するから。ね?」
「はーい!!」
元気良く返事をして、優樹はバスルームへ向かう。
シャワーの音を確認してから、洗濯機を回す。
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