--寒い寒い日--

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テーブルにあった紙ナプキンをとって、ポケットに指してあったボールペンを取り出した。 中腰になり、かがみこんで、顔を寄せ 「あたしは"あきこ"。白亜紀の"亜"に、希望の"希"に、子供の"子"。で、"亜希子"。」 テーブルに置いた紙ナプキンに書きながら自己紹介。 「おねーさん、なんて誰も呼びませんよ。"おねーさん"。」 ふざけて言った。 そしたら、彼女も同じように、紙ナプキンとボールペンを使って 「あたしは"えみ"。"愛"に"美"しいで、"愛美"。亜希子さん、よろしくお願いします。」 間近でみたその顔は、透き通るような肌に、薄い色素の茶色い目、ちょっと低めの鼻が、赤い唇がすごく愛らしかった。 可愛い…。 すごく、丁寧な子。 仲良くなりたい衝動が抑えられなかった。 「愛美さんはおいくつですか?」 「あたし27です。」 もう、嬉しかった。 「あたしも!!あたしも27!!同い年!!」 共通点が、あった。 「じゃあ、さん付けなし!!」 彼女、愛美ちゃんはまたうなり始めた。 目をくるくるさせたり、口元に手をおいたり、腕を組んだり…。 「亜希子ちゃん、あっこちゃん、あっちゃん……………。亜希ちゃん!!」愛美ちゃんの中で、しっくりする呼び名は、"亜希ちゃん"だった。 「よろしくお願いします、愛美ちゃん。」 嬉しくて、嬉しくて。 "愛美ちゃん"との共通点。 少し縮まった距離。 「よろしくお願いします。亜希ちゃん。」 恥ずかしそうに、にっこりと、愛美ちゃんは笑った。 何かが、違ったの。 >>>>>
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