中学生の僕

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「牧野千夏」その名前を聞いて僕は呆気にとられたよ。 牧野と言えば、教師の間では、開校以来の秀才と呼ばれ、試験では毎回トップ、その上、容姿端麗で、人格も高潔。全く非の打ちどころがない学年のマドンナ的存在なんだ。 僕は彼女に彼氏がいないことは知ってたけど、彼女と付き合いたいだなんて、そんな畏れ多いことは考えられなかった。 僕ら同学年の男子にとって、彼女はまさに高嶺の花のような存在で、彼女を自分のものにしたいなどとつけあがる愚かな男なんていなかった。 僕も含めて、男どもは身の程をわきまえていたんだろうね。
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