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自転車にまたがり、夏樹を後ろに乗せ漕ぎ出した。 どんよりと曇った空は、変わらずで何かを暗示してるみたいだった。 親に見つからないように、細い道を通り、最寄りの駅にたどり着いた。 あの時はあーだったよね、こーだったよね、何て思い出話しに花を咲かせながら、電車に乗り地元を離れ、少し離れた街のショッピングモールに行った。 きっと夏樹の心使いだったんだと思う。 地元なら私が親を気にして、心から楽しめないから。 電車を降りて、手を繋いで歩いた。 ふと涙がこぼれそうになるのを、ぐっと堪えていると夏樹がふいにこう言った。  「 プリクラ撮ろうよ!! 」 今まで友達とプリクラなんて、撮った事がなかったから嬉しくて、すぐにOKした。 夏樹と撮った最初で最後のプリクラ。 まだ私は大事に持ってる。 昼食をとって、映画を見る。 私は親に友達と遊びに行く事を、禁止されてたから、そんな普通の事もした事がなかった。 見た映画はその当時流行ってた、世界の中心で愛を叫ぶ。 もうすぐタイムリミットが迫ってた。
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