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「行ってきます。」
一言だけ、いつもと何も変わらない日常的な挨拶を、義務的にこなしただけ。
違うのはもうこの家に、戻ってくる事はないって事。
小さく呟くさよならは、最後まで父や母には届かなかった。
梅雨時期だからか、どんよりと曇った空は、私の感情そのものをそっくりそのまま、写しこんだみたいだった。
私、中学3年、14歳。
6月13日土曜日。
今でもはっきり覚えてる。
辛くて苦しかった世界から、やっと救われる、確かにあの時そう思ったんだ。
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