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叫んだ。 とにかく誰かに気付いて欲しくて、助けて欲しくて。 私の叫び声は、母と私だけの閉鎖された家に、虚しく響いた。 髪を引っ張られたまま、台所からリビング、リビングからお風呂場に連れて行かれ、お風呂場に飛ばされた。  「 痛い!!お願いします!!   離して!!ごめんなさい!! 」 頭皮が焼けるように痛くて、ぶちぶちと髪が抜ける音がした。 倒れた私を散々蹴った後、引っ張り起こして、玄関まで引きずられ、突き落とされた。 震えが止まらない。 涙も止まらない。 ガタガタ震える私の顎を持ち、母は髪を振り乱し、真っ赤な顔を私の顔に近づけ、こう怒鳴った。  「 血の繋がリのないあんたを  こっちは育ててやってるんだ。   わかったか!!     」 私が殴られた理由? 少し部活の片付けで、帰りが遅くなっただけ。 遊んで帰ってたのだろうという、母の問い掛けに、怒られまいと本当の理由で弁解しようとしただけ。 母に怒鳴られた言葉が、何度も頭を駆け巡る。 私やっぱり邪魔なんだ。 この家に私は必要ないんだ。 母が立ち去った後、涙腺が壊れてしまったのか涙が静かに流れて、止まらない。 そっと頭皮に触れてみると、指先にはうっすらと血がついていた。 もう無理だ。 やってけない。 もう父の愛情も、母の愛情も信じられなくなってしまっていた。 これがきっかけで、私は家を出る決心をした。
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