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女の子は私に気づき、私の持っているボールで事情を察したのか、すみません、と謝ってきた。
「や、そんな気にしなくていいよ。」
とか言いながらその子の開けたバスケ部の部室に入り、ボールを戻そうとした。
が………。
部室の中は丸められた紙が散乱していて、とても綺麗と言える状態ではなかった。
老婆心ながら、こういうのは整理した方がいいよ、と注意しつつ、紙を一枚拾い上げて中身を見た。
すると何故かそこには私の名前が書かれた手紙が。
驚いて何も言えずにいると、女の子がおずおずとこちらに話しかけてきた。
「あの、深田さんですか?」
いかにも、私が深田だ。
などとふざけた答え方はしていないが、確かに私は深田だった。
話を聞くに、部室の散乱した紙はどうやら全て私宛の手紙だったらしい。
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