悲しみ

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そんな俺の態度が知らず知らずのうちにあやを苦しめて、追いつめていたんだ。 俺は改めてあやの顔を申し訳ない気持ちで見つめる。 彼女を叱る資格なんか、俺にはなかったんだ。 「ごめん…… あやをそんなに追いつめてたなんて気付かなかった 自分ではそんなつもりじゃなかったけど…… あやがそう感じたんだとしたら、そうだったのかもしれないな?」 俺の言葉を悲しそうに聞いていたあやは、ズズッと鼻をすすりながら右手で涙を拭うと、ゆっくりと顔を上げる。 「私……ずっと奥さんが羨ましかった 健に愛されて優しくされて…… 私とはあまりにも違う境遇だったから…… 子供がいないって聞いた時、ひなを会わせることで健がこちらに向いてくれるかもしれないって…… 無意識に計算してた部分もなかったとは言えない でもわかったんだ 健やさとみさんが幸せそうに見えたのは、健ももちろんだけど、さとみさんからの深い愛があったからこそなんだって…… 与えられることだけを望んだ私と、与えることを幸せと考えてたさとみさんとでは、最初から土俵が違ったんだね?」 あやはそう言うと、また涙をこぼしながらにっこり笑う。
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