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その時、ふと気になった。
誠さんが今日ほとんど会話に参加してない。
多分、だけど。
何でなんだろう…。何となく、気掛かりだった。
心に出来た、ささくれみたいに、
小さなわだかまりを私の心に残す。
食事も会話も十分に満足した頃に、時間も大分遅くなった為にお店から出た。
私や如月先輩が高校生な以上、切り上げる時間は必然と決まっている。
こういう時、自分の年齢を恨めしく思うのは仕方ないだろう。
少しだけ名残惜しい気持ちになりながら、店先をずれた場所で、智君達と別れの挨拶をお父さん達がしてる。
少し余韻に浸りたくて、お店を見ているといきなり肩を叩かれた。
挨拶、終わったのかな?
くるり、と相手に向き直ると目の前に誠さん。
予想外だったから思わず、少し声が出てしまった。
人好きのする笑みを浮かべて、私の耳に顔をそばだてた。
恥ずかしい…
整った顔が近付いたから、仕方ないんだ。
と、急にうるさくなった心臓や真っ赤になっただろう顔の言い訳を、心の中でする。
「駅の事、内緒にしてね?まみ…ちゃん」
吐息混じりの低い声が、耳元で囁かれて心臓がさっきよりも速い。
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