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ほとんど聞けなかった誠さんの声は、
低くて甘くて…
もっと、聞きたくなった。
「お返事は…?」
言いながら、フッと耳に息を吹き掛けられる。
考えを巡らせていた途中に、いきなりだったからビクッと体が反応して思わず後退る。
そんな反応を見て、誠さんはククッと喉の奥で笑いを噛み殺しているらしい。
格好良い顔が、我慢のせいか歪んでいる。
笑われた事に少し怒りながらも、心臓の速さは増している気がする。
このままじゃ、心臓が保たない気がして誠さんにだけ聞こえるように「当たり前です」と声に出す。
私の声が聞こえたらしく、誠さんが頭を上げる。
しかし意味が分かってないのか、キョトンとして頭を傾げている。
可愛い、なんて思ってたら少し心臓が落ち着いてきた。
「言いませんよ、別に。誠さんが嫌な奴でも、関係ないですもん」
「……確かに関係ないな」
私の言葉が面白かったらしく、笑い混じりで言ってくる。
全く面白い所ないと思うんですが!
「まみちゃん、ごめん」
そう言って、私の頭をポンポンと撫でる。
撫でる、というよりかは手を置いてるみたいだけど。
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