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そう言えば、最初から少しずつ違和感は有った。
智君は、誠さんと浩先輩しか紹介してない。
ご両親について、触れてない。
うちは家族揃ってるのに。
でも、あの兄弟の空気は…
家族が揃ってる空気だった。
些細な違和感が有っても、気付かない位に。
見過ごしてしまう程度。
現に私が納得していた。
違和感を飲み込める程度には、完璧だった。
「…ぉ、ねぇ…ちゃん…?もしかして…智君はご両親、居ない…の?」
否定されたかった。
あの兄弟が、誠さんが幸せじゃない可能性なんか嫌だった。
「…昔、事故で…。今は3人で、暮らしてるよ」
「そ、なんだ…」
頭がガツンと殴られた気がした。
私は今まで、周りに肉親を早くに失った人が居なかった。
考えた事もなかった。
だから、苦労も寂しさも辛さも理解出来ない。
でも、あの兄弟の空気が家族として修復するには、時間がかかったって事は想像出来る。
変な同情なんて、したくない。しても意味が無い。
そう思いながらも、3人が幸せでありますように、と祈らずにはいられなかった。
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