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夕日が眩しい学校帰り。
友達の湊と数ヶ月通い続けた道を、駅に向かって歩く。
「まみ、今日カラオケでも行かない?」
唐突に言いだす湊。
普段もこんな感じで寄り道を決めたりするから、驚きはしないけど。
「あー、ごめん!今日は早く帰らなきゃ…」
「そっか、なら仕方ないよね!」
湊は軽く了承してくれた。
まだ会って数ヶ月だけど、高校で一番の友達だ。
優しくて、楽しくて
小動物みたいに愛くるしい子。
次はまみから誘ってね!
なんて笑い混じりに言われる。気遣いまで完璧…
私が男なら惚れてたわ!
なんて抱きついたりして、残りわずかな道を歩いた。
駅に着き、バイバイと告げ、
それぞれの路線に別れた。
地元の駅に着き電車から降り歩き始めた瞬間、背中から押される感覚。
ぐらり、と揺れる体。
視界が変わり、地面が近づく。
あ、転ぶ。
そんな事を悠長に考え、痛いのは怖くて反射的に目を瞑った。
しかし、身構えた痛みは無くて
お腹辺りに何か有る、そんな感覚がある。
「大丈夫?」
頭の上から聞こえた気がする声に、おずおずと目を開いた。
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