出会い

2/4
前へ
/33ページ
次へ
夕日が眩しい学校帰り。 友達の湊と数ヶ月通い続けた道を、駅に向かって歩く。 「まみ、今日カラオケでも行かない?」 唐突に言いだす湊。 普段もこんな感じで寄り道を決めたりするから、驚きはしないけど。 「あー、ごめん!今日は早く帰らなきゃ…」 「そっか、なら仕方ないよね!」 湊は軽く了承してくれた。 まだ会って数ヶ月だけど、高校で一番の友達だ。 優しくて、楽しくて 小動物みたいに愛くるしい子。 次はまみから誘ってね! なんて笑い混じりに言われる。気遣いまで完璧… 私が男なら惚れてたわ! なんて抱きついたりして、残りわずかな道を歩いた。 駅に着き、バイバイと告げ、 それぞれの路線に別れた。 地元の駅に着き電車から降り歩き始めた瞬間、背中から押される感覚。 ぐらり、と揺れる体。 視界が変わり、地面が近づく。 あ、転ぶ。 そんな事を悠長に考え、痛いのは怖くて反射的に目を瞑った。 しかし、身構えた痛みは無くて お腹辺りに何か有る、そんな感覚がある。 「大丈夫?」 頭の上から聞こえた気がする声に、おずおずと目を開いた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加