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そんな事をぐるぐると考えていると、
イケメンの形の良い唇が動いた。
「鈍臭い上に言葉まで通じないわけ?じゃ・ま」
「…どん…くさい?」
何なの、こいつ。
鈍臭いとかイケメンだからって調子ノってるわけ?
「聞こえたなら、退け」
何様よ!ムカついたー!!
「助けて頂き、ありがとうございます!私が邪魔なら、避けて通ったらどうですかっ?」
駅のホームなんて一本道でも、狭くも無いんだから避ければ通れる。
なのに、私に邪魔なんて言うとか性格悪い!
おまけに鈍臭いとか失礼すぎる!
イケメンだけど性格悪いとか、最悪。
前言撤回。こんな奴と運命とか有り得ない。
「こんだけ悪態つけんなら大丈夫だな。んじゃ、次は転ばないように」
にやっとした笑顔を見せ、
私を避けてホームを降りていく。
気遣ったつもりか知らないけど、余計なお世話です!
「転びませんっ!」
その場でイケメンに向かって声を荒げる。
しばらくその場で頭を冷やしてから家に向かう。
イケメンに対する苛々。
ちょっとした優しさや、
イケメンの笑顔にときめいた自分に対する苛々。
モヤモヤするから、もう会いたくないなんて思いながら。
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