煮干し

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2 カランカランと軽快な音を立て扉は開く。「おお、充君久し振りやねぇ」 「何を言うねんおばちゃん、こないだ来たばっかりやろな」 「そうやったねぇ」その居酒屋のおばさんはにっこりと頬の肉を、重力に逆らい上げた。 「そっちのお兄ちゃんは、初めてやねぇ」 「あっ、はい」 「まぁ、ちっさい店やけど楽しんでいってねぇ」 「じゃあおばちゃんいつものやつ」岡崎は手の白い手袋を取りながらそう言った。 「そっちのお兄ちゃんは何にしとこう」 僕は戸惑いながら店内のメニューを見てこう言った「じゃあ、ジン・トニックで」 「了解、そういえばお兄ちゃん名前聞いてなかったねぇ」 「白石 祐太です」 「じゃあ白石君はもう良い年やし、親孝行とかしときやぁ、親は気付いたら死んどるもんやからな」 「僕親いないんですよ、父は離婚して居ないし、それから母は末期ガンだったんですよ、本当に気付いたら死んでいます」 「お母さんいつ亡くなったんや」 「中学二年の時です」 「そうか、悪いこと聞いたね」そういうおばさんの背中はあまりにも小さかった 「いえいえ、気にしてませんよ」 「はい、充君烏龍茶」 「それと、白石君ジン・トニックね」 「今日はおばさん奢ったげるわ」またにっこりと笑った。
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