煮干し

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「あなた!起きて下さい!」突拍子もない声に起こされた。あれ?私は夢でも見ていたのだろうか。当然まだ産まれていない息子も居ない。ただ、私の名前は白石 祐太弁護士で妻は白石 奈々美で、私は昨日から殺人事件の弁護をしている。 テーブルにはしなびた煮干しに、コップには溶けた氷で薄まった、ジン・トニックが置かれているだけだ。 多分疲れていたのであろう。夢はいつの間にか忘れるものだ。背広を片付けると、ヒラリと名刺が一枚、真ん中には岡崎 竜一と書かれていた。
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