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Ⅰ
「私は野田順弘です、死にました。死因は脳挫傷です。昨日会社帰りでした、鉄筋が落ちてきたんですね。ビックリしましたよ。」
「わかりました。工事現場で事故ですね。」
「いいえ、工事現場で不慮の事故です。」
と、言う意味不明な会話が交わされるここは、何とも不思議な{死人界}である。大切なので{}を付けて置こう。
「どうやら死んだみたいでありんす。」と右隣の女が言った。
「そのようですね。」俺が返す。
「受付に行きましょうか。」左隣の男がその隣の女に言っていた。
「結構っす。ひとりで行けますから。」女が返す。受付に行くべきなのだろう。私は歩く。死んだら脚が消えると思っていた。
~省略~
悪しからず、俺は真っ当な死に方をしていないみたいだ。なぜなら、死んだのに鼻が折れている。酷い。神様はこんな事をする奴なのか。会ったら鼻を折ってこう言ってやる。「高い鼻を低くしやがって、前はイケメンだったのに。」と、昔も不細工だったが、彼女に振られた時は、「鼻の辺りが嫌い!生理的に無理よ、整形してからまた告白してよ」悲しかったな。とりあえず置いといて、私は受付に歩み寄る。
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