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ハッと思案の海から引き上げられる。
現われた晴香の手には塵取り、ほうき、雑巾、新聞紙を器用に持っていた。
「ありがとう
新聞紙貸して」
「はい!」
晴香はすぐに新聞を差し出す。
その様子に亜輝はクスリと笑う。
「そんなかしこまらなくて大丈夫だよ
俺は無傷だったし植木鉢の片付け手伝って貰ってるし」
「いえ!
落としたのは私なんですから私がやらなければいけないことを手伝っていただいているのは私です」
「敬語じゃなくていいよ
俺タメ口の方が話しやすいし
ね?」
亜輝はニコリと笑って言う。
亜輝は確かにカッコいいが中性的な顔立ちもしており晴香は心の片隅で
女装されたら負けるかも……
などと考えていた。
「晴香ちゃんって呼んでいいかな?
苦手だったら小沢さんって呼ぶけど」
「好きに呼んでくれて大丈夫」
「じゃあ晴香ちゃんね」
ニッコリと人好きがする笑みを浮かべ植木鉢の欠片を片付けていく亜輝。
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