出会い

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「スースー……」 規則正しい寝息と共に布団が上下する。 眠っている。 大丈夫だ。 激しく跳ねる心臓をどうにか落ち着けナイフを出す。 この仕事さえ終えれば…… 咲は…… 助かるんだ!!! 勢いよくナイフを振り上げた。 だが、不意に相手が目を開けた。 そして、布団を投げつけられ、視界が覆われる。 慌ててナイフを振り回し、布団を退けるが目の前に相手はいない。 「俺を狙ったのがテメーの運の尽きだ」 背後から声がしたと思った瞬間腕を後ろで組まれ、床に倒れ付された。 「誰だテメーは」 「お前さえ殺せば……咲は助かるんだ……お前さえ殺せば……」 「俺はテメーの名前聞いてんだよ!!!!」 ギリッと腕を捻られ悲鳴を上げる。 「もう一度聞く テメーは誰だ 何のために俺を殺そうとしてんだ」 「咲のため……咲……」 話にならないと判断したのか相手はため息をつく。 その時激しい人の足音を聞いた。 「チッテメーの仲間か?」 相手は答えを望まず、俺を立たせ、盾のように扱う。 そして、俺が落としたナイフを拾い構えた。 足音は近くなる。 そしてバンッと勢いよく扉が開け放たれた。 「おいテメー!!!」 勢いよく飛び込んできた中年の男が怒鳴る。 だが、部屋の光景を見て、目を丸くする。 俺と俺を盾に使っている相手を交互に見比べる。 「……八雲 お前の同級生随分老けてるじゃねえか」 「老化は嫌ですね 眼鏡を買うことをお勧めしますよ」 「テメー!! だったら見てみやがれ!!」 男が怒鳴ると同時に二十歳代くらいの青年が顔を出し、首を傾げる。 「……どうして君がナイフを持っているんだ? 氷室亜希」 「じゃあ逆に聞く なんで俺の家に上がりこんでんだ 斎藤八雲」 八雲と呼ばれた青年はパチッと部屋の電気をつけた。
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