出会い

16/22
前へ
/58ページ
次へ
「見たのは俺も合わせて三人だけ しかもあんた達が見てるのは俺がナイフを持ってこの人を盾にしてるとこだけだ ハッキリ言って俺がこの人を殺そうとしていた……ともとれる光景だ 斎藤八雲の知り合いじゃなかったら、恐らく俺が取り押さえられていたことだろう つーか…… あんた以外こないってことは警察にはこのこと知らされてねえんじゃねえの? なら問題ねえじゃん」 「大有りだ!!! 目の前で殺人未遂犯が居るっつーのに見逃せっての!?」 「じゃあ…… 俺がこの人を殺そうとしました」 「!!!??」 中年の男は目を丸くする。 「なので俺を捕まえてください この人を殺そうとしたのはついです 俺殺人衝動があるんですよ ですから危険なので俺を捕まえてください これ以上被害者がでないように」 亜輝は中年の男に両手を突き出す。 中年の男は「あーー!!クソッ!!!」っと怒鳴り、頭を掻き毟った。 「本人が何もねえって言うなら俺達はそれ以上踏み込めねえ 何も見てなくて本人が何もねえっていうならこれはただのイタズラ通報だったんだな?」 「はい」 亜輝はニッコリと笑う。 だが八雲が険しい顔で問いかける。 「本当にいいのか?」 「俺は別に死んでもよかったしな この人は……大切な人が居る 殺人未遂をした人ってレッテル貼られて生きるのはキツイだろう それに……この人は優しい人だ その心を他人に利用されただけなんだよ」 「……君にはその他人がわかっているのか?」 「ああ」 八雲の問いにサラリと答える亜輝。 「だったらさっさと言え!! すぐに捕まえる!!」 「「あなたは馬鹿ですか?」」 八雲と亜輝の声が重なる。 「んだとテメーら!!!」 「俺はこの人の人生を狂わせたい訳じゃない」 「だから!! そいつをそそのかした奴を!!」 「本当に刑事なんですか? 仮にその人物を捕まえてその人物が今回のことを喋らないと思いますか?」 「!! そっそうか……」 中年の男はやっと納得してくれた。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加