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後藤はさっきの話を思い出し、押し黙る。
「東さん
娘さんに会いたいんですけど明日連れて行ってもらえますか?」
正一郎ははとが豆鉄砲をくらったような顔をしていた。
亜輝はクスリと笑う。
「お願いしますよ」
「君は……本当にいいのか?」
「何が?」
「私は君を殺そうとしたんだぞ?
また命を狙われるかも知れないのに私を娘と会わせてくれるのか?」
「貴方の力量じゃ俺は殺せませんよ
それに……
貴方はもう殺しの意味が分かったでしょう?」
正一郎は目に涙を浮かべる。
亜輝は優しく微笑み口を開く。
「それに会うのは貴方だけではありませんよ
言ったでしょ?
俺も会いたいです
だからお願いします」
亜輝の笑顔に正一郎は亜輝の手を両手で包み泣きながら何度も「ありがとう」を繰り返した。
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