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辺りに炎が燃え盛っている。
酸素が炎にうばわれ、更に煙が呼吸を許さない。
「ゴホッゴホッ」
「大丈夫か!?
兄ちゃんが絶対守ってやるからな!!」
そう叫び声が聞こえた瞬間天井が崩れ紅い炎をまとった木材が落ちて来る。
「危ない!!!」
目の前が闇に包まれた。
目を覚ました時には両親が目の前に居た。
「あぁ!亜輝(あき)!良かった!」
安堵の表情を浮かべて抱き締めてくれる母。
「あなたまで居なくなってしまったら私……もう……」
あなた“まで”……?
混乱している中胸の中が大きくざわめいた。
「あなただけでも生きてくれて良かったわ」
母はそっと手を握ってくれて言葉を続けた。
「あのね……亜美(あみ)は……死んじゃったの……」
嘘……だ……
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