知らない!

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走り出すベンツは、もう少しでホテルに着くと言うのに動かなくなる 渋滞にハマったからだ 「ねぇ、後どれくらい掛かる?」 「申し訳ありません、この様子だと歩いた方が早いかと……」 「じゃあ道を教えて!」 ボディーガードも一緒に降りるが待ってなどいられなかった 走って走って、曲がり角で3人組の真ん中の人にぶつかる ぶつかった人はあまり特徴の無い人だから印象に残らなかった それよりも急いでウィズムホテルに着く 軽く髪を整えてホテル内のレストランに入る レストランを見渡せば目立つ男女はすぐ見つかった 2人も気付いて私に手を振る、ボディーガードもようやく追い付いて後ろに立つ 「美弥、相変わらず綺麗だね。流石私達の娘だ」 「ワンピースも似合ってるわよ」 「ありがとう、お父様お母様。それより!」 飛び出す婚約者候補達の罵詈雑言は30分は出続けた 2人も反省したらしく、月一にお見合いを減らすと承諾 「無くして欲しいのですが」 「もうちょっと我慢してくれ、それとももう気になる……」 「居ません」 「じゃあ学校はどうかしら?気になる……」 「居ません」 「そろそろ会ってるはずなんだが……」 「占い師が外したのでは?」 「それは無いわよ、まぁ恋に落ちるのは15才だって言ってたし……」 「いい加減にして! そんな占いなんて! 非科学的な物に惑わされるなんて!」 「私もそう思っていたのよ、正弥さんに出会うまで」 ふんわりと穏やかに笑うお母様、まるで私が聞き分けが無いみたい 「信じられ無いのもしょうがない、私も信じて無かった。美弥も時期分かるさ」 「そうだ、確か新羅高等学校に進路決めたのよね。そこで恋に落ちるのかも!」 「止めてよ! そりゃ恋はしたいけど、無理矢理するものじゃ無いでしょ!」 「早く知りたいんだよ、美弥を幸せに出来る男を」 お父様は真剣な眼差しで私を見詰める 「私の大事な娘の純潔を奪う男……潰……」 「貴方! その子が美弥を最高に幸せにするのよ!」 2人が真剣なのは良く解った、でも占いで分かってる未来なんて! たった2時間の親子の語らいは過ぎて行き 婚約者候補達が運命の人じゃ無い事を祈った
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